店長のひとり言 part2「ここに『いる』ということ」

 

このごろ、自分がここに「いる」っていう意識が、だんだん強くなっていくんです。ここに「いる」ということは、何か目的があって、何かそういう、人生のいつかの時点で成し遂げるべきミッションみたいなものがあるのかなぁと。

 

中学生の頃、天体望遠鏡の安いのを買って、よく星を見ていたんだけど、その頃から漠然とした、何か未知なるものの不思議さというのをずっと思ってて。
 大学は東海大学の海洋学部。4年生で調査船に乗ったんです。僕のテーマは海洋地質。基本的には地球の歴史とは何なんだろうということですよね。壮大なテーマだし、エネルギー資源や海洋生物という現代の問題と深く結びついてくることだから、たった4年間では答えは見えてこなかったけど。
 でも、その世界に関わっていてよかったなぁって、今更ながら思うんです。

 

個体の発生は、系統的な発生を繰り返す。これ、わかりますか? チャールズ・ダーウィンの『進化論』ってありますけど、人間は母親のお腹で単細胞の卵子と精子が出会い、細胞分裂を繰り返して、魚類になって、両生類になって、爬虫類や鳥類になるという進化の過程を歩み、そして最終的にホモサピエンスとして出てくるわけです。
 この間、淘汰されちゃう器官があるわけですよね。顕著なのはシッポで、尾てい骨として残ってます。それから、お腹の中にいるときはえら呼吸をしていて、外へ出た瞬間にチューブを伝って空気が入って、一瞬にして肺呼吸に変わる。この過程がすごいと思うんです。泣かない場合は、お医者さんなり看護師さんなりが背中をポーンと叩いて肺呼吸をさせますよね。

 

でもね、まだわからないこともあってね。それは、命の発生の元は何かということ。人工生命体というものを作れないんです。命の発生の瞬間というものを。これだけ科学が進歩、発達しても、ここは謎なんですよ。生きているものと生きていないものの境い目もよくわからない。
 たとえば、細胞が増大して一つからどんどん分割して大きくなっていくものが命だと定義するなら、雪の結晶や霜の結晶も、大きくなっていく。だけど、あれは「命」かというと、明らかに「命」ではない。だから、命あるもの、自分たちの存在ということがよくわからないということになるんです。

 

生物学、化学や物理の範囲内だけで追い求めていると、つねにその次の疑問が出てきて、限りがないわけですよ。その元は何なのかって。
 たとえば、ホーキング博士が発表したビッグバンから、いまは素粒子の方向へ行き、ブラックマターやブラックホールの研究が進められています。
 ある恒星が超新星になって爆発すると膨大な星が収縮に向かってブラックホールに吸い込まれる。そこからは光も出てこられない。ということは、時間もない。時間という感覚、感性がない。次元がなくなってしまうんです。
 でも、ブラックホールが明らかに「もの」としてそこにあることは、ハッブルの宇宙望遠鏡などでもわかる。エネルギーの固まりだということはわかるわけです。

 

そういうことを考えると、自分の存在って何だろうという考えがどんどん深みにはまるんだけど、そこを軽々と越えて、それはこうだよとひとことで言ってる人がいたことに気がついたんだよ。もう、15年ぐらい前に。
 それは、仏陀。禅のことばに、『つねにこれなし』とか、『無常の世界がこの世』というのがあります。お茶の世界もまさにそう。自分が深く関わっている商売に身近なことばだったんです。

 

それを二千五百年前に仏陀が言ってたんですね。そんなに前に言われたことばに、いまさらながら納得した。「あぁ、そういうことか」って。驚きますよね。
 たとえば、このマテ茶の器を顕微鏡で追っていくと、革の粒子、原子が見えてきて、そこに原子核とか、もっと倍率を上げると素粒子という、物質の源だと言われているものに突き当たる。でも、じゃあ、その元は何よって突き詰めてみると、素粒子の元の元があるというのがわかって、また疑問が生まれる。その元は何……、きりがないんです。

 

そのことを、仏陀は二千五百年前にひとことで言い表したわけですよ。いやぁ、すごいって思います。
 そう考えると、最先端のサイエンスというのは、仏陀のことばを今更ながら追いかけて続けているものだって思うんです。なかなか、仏陀とおなじ土俵には乗れない。なぜなら、科学者は実験データで示さなきゃいけないから。こういう実験をすれば、こんなデータが出るということになってはじめて認められる。でも、それには限りがありますよね。どうやったって、「じゃあ、その元は何?」って。
 それを、二千五百年前に『つねにこれなし』、諸行無常だと言った。これはないもの、でも実際にはあるんだ、って。

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