店長のひとり言 part8「東日本大震災を経て」

東日本大震災を経て

 2011年の3月11日はね、私、ここ(町田)にいたんですよ。それはすごい揺れだった。ここも震度5弱だったし。この大きなガラスもひびが入ってね。あのときは一瞬にしてここも潰れてなくなっちゃうんじゃないかなと。瞬間的にそう思ったけど、それで済んで。

 この上の3階が整形外科さんで、4階が美容院になってるんですよ。美容院には髪の毛を染めてる子たちもいたからね、シャンプーしてる子たちもいて、そのままの格好で出て来た。びしょびしょで。とりあえず階段の部分というのは意外と基本的には丈夫に出来てるらしいから、階段の所でお仕事していてくださいってやってもらった。電気も一斉に消えちゃってね。

 東日本大震災を境に、変わったかって? 15メートルを超える津波にのまれて、一瞬にして亡くなった方がいて。それはもうまさに無常の世界で、亡くなる人は亡くなっちゃうわけですよ。神様も仏様もいないって世界で。亡くなるときは亡くなる。生き残った人は生き残って。
「それはなんなのよ」って、よく理解できない人はいまだにいっぱいいる。でも、少なくとも自分はそういうものだと思う。

 まさにね、諸々の行いというか、動的なところが無常の世界であって、そのことで大きく嘆き悲しんでもいないし、そうかといって、やたらと発奮するでもないし。だから「頑張れよ」っていうのもおかしな話だし。それは、そういうことだって受けとめるのが本当だろうと。そういうことってあると。
 人の存在、生き死に、明と暗、喜怒哀楽。そういう一喜一憂じゃなくて、淡々と、あるべきものはあるし、ないものはない。それをそのまま受けとめてるっていうのかな。

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