そして2年が経って
それから2年(2013年)、3月11日は来たわけだけど、その1週間ぐらい前から町田市の職員の人がイベントをやるから協力してくれって来たの。ライトダウンのイベント。3月11日、夜6時から8時まで。外の街路灯を消して、看板の照明も消して、時には星でも見たらっていう、そういうイベントだったんだけど。
「え、いいなぁ」と思って、「誰、考えたの?」って聞いたら、そのイベントに協力してくれって言いに来た男の子がその本人でね。30代ぐらいの職員なんだけど、その子に「どうして、また」って聞いたんです。
そしたら彼もね、町田で震災にあったんだけど、中心市街地の灯りが一斉に消えるっていう経験がない、それまで経験したことがなかった。でも、震災の日は全部、電気が消えちゃったでしょう。その時、空見たら星が出てた。昼間は東北の人たちが、津波と原発でね、多くの人が亡くなってるってことが十分にわかってて、とんでもないことになってるっていう思いがあったんだけど、空を見るとね、星が出てたんですよって。いままでになく星がきれいだって思ったって。
それをね、彼は泣きながら言うんだよね。その時、本当にいい子だなぁと思って、絶対協力してあげるよって言って、実施日が間近だったから4〜5日でこの商店街を一軒一軒回ったの。「協力してよ」ってお願いして、全部電気消してもらった。全部が全部は消えなかったけど。商店街のつながりがね、みんなだいぶ長い付き合いだし。
街を通る人がね、異様に暗いから「なんだろう」って言う人もいましたし、「今日は11日だね」って、そう言う人もいっぱいいましたね。
このときに思ったのが、やっぱり無常の世界ってそうなんだよなぁ、って。
市の職員も、自分の仕事とそういうところを結びつけて、いい仕事したなぁって、久々に思ったよ。
続く・・・店長のひとり言 part10 へ