あらゆることは、起こるべくして起こる
大学の頃、地質をちょっと勉強していたんだけど、当時から、どのくらいのピッチでプレートが動くかっていうのは全然わからなくて。いまだにわかんないんですよ。太平洋プレートが北米プレートの下にもぐりこんで行って、これが跳ね上がるという仕組みがあるんだけど、50年周期だとか60年周期だとか、いろんな学者がいろんなこと言ってんだけど、全然当たらなくて。三陸沖、北海道、新潟、どれもそうだった。
それで最近になってね、さまざまな現象が起こるべくして起こるっていう「べき分布(べき乗則)」の式がわかって。たとえていうと、聞いた話なんだけど、砂の粒をポタポタと落としていくと、山の形になって、成長していく。でも、あるひとつを落とすとその山が崩れちゃう瞬間があるわけですよ。縦軸に回数、横軸に時間を取ってグラフを書くと、いろんな現象がこの曲線におさまるんです。地震が起こる確率もそうだし、事件の起こる確率、あるいは株価の変動だとか、戦争の起こる確率だとか。きれいにそれに一致するっていうんですよ。
だから、いつになったらっていうのは、わからないんです。この一粒で崩れるかもしれないし、崩れないかもしれない。でも、崩れるとなると一気に崩れる。
地震もね、この周期でだいたい千年に1回の割合だって言ってるんですよ。この間の地震も千年に1回の割合なんだけども、砂山の砂1粒で終わるか、2粒、3粒なのか。そろそろ起きるなっていうのはわかっても、今年なのか来年なのかっていうのはブレがある。このブレがわからない。でも、関大の教授がボーリング調査をして、過去の数々の津波の痕跡のデータをつなげる詳しい海図を書いたら、やはり千年に1回の割合で地震が起きて、津波が来てるようだと。
過去にハワイで50メートルの津波があったって、地質調査でそういうことがわかってきたんです。逃げられないです。引いたと思ってもまた来るから。
ユーチューブで見たんだけど、この間の東日本大震災のときも、地震が起きたという一報で、津波が来るから危ないっていうんで、海上保安庁の船が入江から出て行くんです。前方から津波が来てるのが映像でわかるんですよ。それで船は津波に対して直角に向かって行って、乗り越えるんです。ブリッジで緊張してる人の顔が映ってて。船長の的確な判断でスレスレで間に合ったって言ってた。
沖に出てしまうと、ふつうの波なんです、海底がぐっと深くなりますから。でも、陸地に近づくと海底の深さの変化で波のエネルギーが増幅されて、何十メートルもの波にもなる。ボトムが深ければ深いほど、上の方の水位は数センチしか変わらない。ふつうの波と判別できないですよ。
千年に1回といっても、次はまた千年後なのか、直後に震度8とか7クラスの地震がくるのかってのは、わからない。
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