店長のひとり言 part1「まずはマテ茶を一杯」

「まずはマテ茶を一杯」

 

マテ茶、飲んだことあります? マテ壺、これが専用の器でね。両手におさまるくらいの大きさで、革のカバーに包まれてて。飲むときは、まず、逆さまにして振るんです。そうすると、細かい葉っぱが下に落っこちるでしょ。それで、上下を戻すと、上に細かいのが集まってるんです。

 

今日は、ウルグアイ人みたいに、最初は水で飲みましょう。マテ茶の飲み方って、国によって違うんです。いきなりお湯で飲んじゃうのがアルゼンチンの人。冷たい氷水で飲むのがパラグアイ人。ウルグアイ人は、両方やるんです。

 

まず、氷水を入れて、ボンビーリャ(茶漉し付ストロー)を差し込む。さっき逆さまにして細かい葉っぱを上に集めたから、下までストローを差し込めば詰まらないでしょう。南米の人たちはこれでしか飲まないですね。ティー・ポットは使わない。とにかく入れる葉の量がすごいんです。

 

紅茶は、ふつう、1回3グラムとか5グラムぐらいでしょ。でも、これは30〜40グラム、入れてる。10倍以上も使うんだけど、そのかわり、これで何杯でも飲みます。いたって体にいい。

 

実際、私は日本と南米を行ったり来たりしてるんですけど、別に悪い病気とか感染症とかというのはなくて、健康をキープしてますよ。

 

そろそろ、いいかな。見るからにおいしそうでしょ。もちろん、これだけの量の茶葉が入ってますから、相当濃いですよ。本当は私が最初に飲まないといけないんですよ、毒見の習慣で。飲み切ったらズーズーと音をさせて、その次の人に水を注いで回すんです。最初は水で淹れてて、やけどしないからスイスイ飲んでみてください。

 

たばこっぽい? おっしゃる通り。あのね、過去に日本の専売公社がマテ茶をやりたいということで、マテ茶の葉を刻んでタバコの葉と混ぜたんです。それくらいよく似た味なんですね。

 

最後はズルズルと音がするくらいに吸ってください。そういうふうに音を立てると、飲んでくれたんだなぁと思うんですね。それで、また水を入れて、次の人に渡す。一回、氷水で飲んだら、あとはお湯だったり、水だったり。

 

一日に何杯くらい飲むかって? 朝から晩までですね。木の様子ですか、葉っぱは日本のモチの木の葉に似ている。向こうではマテの木という、普通の灌木だけどね。放っとけば10メートルかそのくらいになる。葉っぱを出す春、南半球だから9月ぐらいまでの時期に、バサバサ伐って、葉っぱが発酵しないように火であぶっちゃって、細かく刻んで保存する。

 

ブラジル産のマテ茶もあります。日本では珍しい。
 昔、日本はたくさんの人をブラジルへ移民として出稼ぎに出したでしょう。移民が渡り始めて百年以上たって、もう6世も生まれ始めてますよね。

 

当時の人たちの苦労話を聞くと、過酷でね。とても真面目に開墾して、いまではそこそこの地位になって、中には政治家になった人もいるし、要職についてる人間もいっぱいいますよ。日本人というとね、とても勤勉で真面目でね、すごい信頼度が高いんです。だから、現地の人は、初め用心してるんだけど、ハポンライだって言うと、がらっと変わるんですよ、「よく来たなぁ」って。非常に親日家でね。

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